2022年度理事長所信

第58代理事長 木村 紳吾

「志の共有」
~踏み出した一歩が地域を変える~

【はじめに】
 JCを自らの意思でやっていますか。言われるがままにやらされていませんか。または、JCに対して無関心になってはいませんか。今一度「なぜ」「なんのために」JCをやっているのかを自分に問うてほしい。その答えと自分がJCに向き合う姿勢は合っていますか。川口青年会議所は私に対して多くの自己成⾧の機会を与えてくれました。事業の組み立て方とやり遂げた際に得られる達成感、メンバーを牽引していくリーダーシップ、そして、切磋琢磨してきた仲間や出向先で出会った同志など、入会しなければ得られないであろう様々なものが私の原体験となっています。そして、地域に対して主体的に考えられるようになったことは私の財産です。地域への無関心を関心に変える、つまりは、地域の課題に対して当事者意識を持って率先的に行動するアクティブシチズンとなる、これは私が身をもってJCで体験したことです。多くのポジティブチェンジするきっかけを与えてくれたJCには感謝しかありません。
【志の共有】
 今のLOMに何が起こっているのか。新型コロナウイルス感染症の蔓延により、人と会うことも容易ではなくなり、対面で事業を行う機会も減り、また、新たにメンバーを拡大することが難しい状況になっています。さらに、例会や委員会などの出席率が低下しており、自己成長の機会を掴み取るメンバーが減少しているように感じます。確かに、多くの時間を費やすであろうJC活動と、仕事や家庭の両立はとても大変だと思います。しかし、今一度思い出してみてほしいのです。私たちの先輩は、戦後の復興という大きな困難に立ち向かい、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という志を掲げ、JC運動をスタートさせました。以来、明るい豊かな社会の実現のため、様々な困難を乗り越え、果敢に挑戦し続けてきました。今日の先行きを見通すことが難しい、まさに国難ともいえる社会状況は、戦後の状況と重なる部分もあります。このような時だからこそ、私たちが「なぜ」「なんのために」JCをしているのか、原点に立ち返っていただきたいのです。明るい豊かな社会の実現のためには、綱領にもある通り「志の共有」が最も重要であると考えます。では、どうすれば志を持つことができるのでしょうか。それは自分自身のありたい姿を思い描いてみることです。ありたい姿を描くためには、自分が何に問題を感じているのかを考えて、その問題に対する理想の姿を、ありたい姿として捉える必要があります。そして、ありたい姿に向かっていく気持ちこそ「志」となります。メンバー一人ひとりが志を持ち、さらに、それを共有し合い、同じ方向に向かって情熱的に運動を行うことができた時、市民の共感を呼び、地域に大きなインパクトを与えることができると確信しています。
【理念共感型の拡大と能動的なJAYCEEの育成】
・理念共感型の拡大
なぜ会員の拡大をしなければならないのか。それは青年に発展と成⾧の機会を提供することが青年会議所の使命であるからです。今年は9名以上のメンバーが卒業してしまう現実があります。会員数の減少に歯止めをかけなければ、明るい豊かな社会の実現のための担い手が少なくなると同時に、組織の存亡に関わる問題であるといえます。今年度は拡大を最重要課題と捉えて、来年度以降50名以上の人数で活動ができるよう20名の目標を掲げます。私たちには57年という歴史を紡いでこられた先輩諸兄姉が積み上げてきた信頼や実績があります。しかしながら、拡大という点においてはこの繋がりを十分に活かしきれておりません。幸いなことに、川口市には60万人以上の市民と2万以上の事業所があります。今までの拡大リストに加えて、新たに信用調査会社などから20歳から40歳までの経営者リストを集め、先輩諸兄姉との繋がりを活かした拡大を行っていきます。さらに、昨年度と同様に、パートナーシップ企業を中心に入会対象者を輩出してもらう手法を推進していきます。拡大をする際に大事なことは、入会対象者の困りごとをしっかりと捉え、その困りごとを解決できるスキームがJCにあることを伝えることです。入会対象者に寄り添い、私たちの運動理念をしっかりと伝えた状態で入会まで導いていきます。また、近年の例会などの出席率低下を解消するために、メンバー同士の交流を密にする場を設けていきます。お互いの人となりやJCに対する想いを理解し合い、絆を育むと共に、その志を共有する機会を増やします。志を共有しあったメンバーが切磋琢磨し合うことで、真の意味での会員増強を行っていきます。
・能動的なJAYCEEの育成
JCの素晴らしさは、奉仕・修練・友情の三信条によって生まれる自己の積極的変化であり、JC運動を通して多くの機会を経験した自分自身の成⾧にあります。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、新人メンバーが成⾧の機会やJCの魅力を体感する機会が少なくなってしまっている現実があります。そこで、JAYCEEとしての基礎知識を伝えていくと共に、新人メンバーにもJC運動の根幹となる議案構築を行っていただき、さらに、模擬理事会で上程する研修の場を設け、誰かの行動を変えるJC運動を起こすことのできる能力を養っていきます。組織づくりは人づくりから始まるように、メンバー一人ひとりの成⾧がなければLOMの成⾧はありえません。次年度以降、役員や副委員⾧の職を全うできるメンバーを多く創出していきます。また、新春祝賀会、親睦会、卒業式・忘年会を通して、伝統ある厳格な設営を学び、厳しさの先にある達成感を共有し、自己成⾧を体感していきます。そして、日本青年会議所や埼玉ブロック協議会のアカデミー事業や京都会議やサマーコンファレンス、全国大会なども積極的に活用し、JCのスケールメリットや活動に魅力を感じて、物事を主体的に捉え率先して行動できるメンバーの育成を行っていきます。さらに、LOMの元気のバロメーターとして、活力を持った青年らしい姿を、一年間様々な場面でメンバーに発信していき、LOM全体の活性化に繋げていきます。
【次代に続くインパクトある事業の実施】
私たちは今までにたたら祭り、荒川ふれあい祭りやわんぱくトライアスロンなど、地域にインパクトを与える数多くの事業を実施し、その運動理念に共感をした団体に事業を引き継がせていただきました。今の川口青年会議所は中期ビジョンの推進以外に継続して行っている事業はありません。継続性があり、シンプルで分かりやすく、地域にインパクトを与える事業を行うことができれば、それが川口青年会議所のブランディングに繋がり、まだ見ぬ入会対象者に対して、私たちの活動内容をわかりやすく説明することができます。川口市は他の地域からの転入者が多い地域となっており、人口が現在も増加傾向にある一方で、自分の住む地域のことを詳しく知らない市民が多く、地域コミュニティの希薄化や地域を知らないがゆえに地域に誇りを持つことが難しいといった課題があります。川口市はそのエリアごとに異なる魅力を有しており、地域の魅力を発掘し、転入者や元々住んでいる市民にも新たな価値として発信していくことが、市民の誇りと郷土愛を醸成していく上で重要となります。川口市は飲食店も豊富であり、自然に恵まれたエリアも存在します。さらに、多くのスポーツ施設があり、サイクリングロードも充実しているエリアとなっています。このような環境を活かして、スポーツツーリズムを取り入れた事業を行っていただきます。人の温かさや食に触れて笑顔となり、緑豊かな自然を楽しめるようなスポーツイベントを行うことで、新たなまちの魅力となり、交流人口の増加と共に地域の活性化へと繋げていきます。地域にインパクトを与え、まちに活気をもたらし、市民に新たな価値として知っていただくことで、市民の誇りと郷土愛を醸成していきます。
【中期ビジョンの推進と互いを尊重し合える青少年の育成】
・中期ビジョンの推進
50周年に定めた私たちの中期ビジョンである、「川口に住み、川口で育ち、川口で働く」の実現に向けて、新アクションプラン、Goal to 2024「自発的に学生と企業が協働できる場の創出」を策定しました。3年目である本年は、ステップ1「JCが中心となり、学校・企業と協力した事業の実施を行う」からステップ2「学生と企業が中心となる」へと完全移行できるよう、学校と企業が中心となる団体の創出を目指した活動を行っていきます。昨年は市役所やハローワーク、商工会議所、さらに、多くの学校や企業とのネットワークを作ることができました。本年も私たちの運動に共感いただける企業とのパートナーシップを構築し、持続可能な地域の実現に向けて運動を展開していきます。団体を設立していくには、中心となる企業・中心となる学校、団体の目的やスケジュールを決めていくことが重要です。そのためには、定期的な意見交換の場を設、協働するにあたり相手が何を求めているのかを把握する必要があります。また、学生が川口に住み、川口の企業で働くにあたって、行政にどんな支援を求めているのかを抽出する意見交換会を開き、住みやすいまちから働きたいまちへ繋がるよう、行政に提言を行うと共に、昨年以上に多くの行政・企業・学生を巻き込み、地域への影響力を強めていきます。
・互いを尊重し合える青少年の育成
新型コロナウイルス感染症の蔓延は子供たちにも深刻な影響を与えています。外出自粛の影響により学校が休校となったり、行事が中止になっており、多くの子供たちが自分の夢や目標に向かってチャレンジする機会が失われています。現代の日本の子供たちの自己肯定感について、内閣府の調査によると、自分自身への満足度が他国に比べて低い水準となっています。自分を肯定的に捉える、または、ありのままの自分を受け入れるということは、充実した人生を送るためだけでなく、他人と協調していくためにも必要なことといえます。自分以外の周囲の人を尊重し、その上で自分自身も尊重できることこそ自己肯定感が高い状態といえます。では、自己肯定感はどのように育まれるのか。⾧所だけを褒めたとしても、自分より優れた物事の前では劣等感に変わってしまう可能性があります。大切なことは失敗を責めず、そこに至るまでに頑張ったこと、その人の短所も含めて認めた上で、物事を解決できるような選択肢を共に考え、成功へと導いていく必要があります。だからこそ、私たち大人が子供たちの心に響く体験事業を行い、夢や目標に向かってあきらめずに挑戦し続ける姿勢を身につけてもらうことが重要です。コロナ禍で様々な機会を失い、チャレンジすることができない今だからこそ、子供たちに成功体験を積み重ねられる場を設け、自己肯定感を育み、互いを尊重し合える子供たちを育成していきます。
【組織力の向上と共感を生み出す広報】
青年会議所はその名の通り会議を通じて物事を決定していくという特徴があります。しかし、今の会議のやり方が最善のものなのでしょうか。JCらしさを継承しつつ、建設的で活発な議論ができる効率的な会議運営のあり方を模索し、常にアップデートしていこうという観点から組織を構築していく必要があります。総会はLOMの最高意思決定機関であります。それにふさわしい厳格な空気と、歴史を体感できる場所を創り、メンバーの帰属意識の向上に繋げていただきます。さらに、メンバーの出席率にこだわり、活発な意見が飛び交うように論点を整理して誰もが分かる総会を目指していきます。また、どんなに良い事業を行っていたとしても、それを広報しなければ意味がありません。地域に根差したJC運動を展開するために、見る者を魅了する情報を迅速かつ丁寧に発信することが必要です。発信力の向上は会員拡大にも繋がります。おもしろくなければ見てもらえません。共感を得なければ伝わりません。多くの共感を生み出すことでJCの存在価値を高めて、地域に求められる組織となるためにインパクトある広報を行っていきます。
【出向の魅力】
JCには出向という機会があります。埼玉ブロック協議会や関東地区協議会、日本青年会議所、さらには国際青年会議所まで、成⾧の機会は無限に広がっています。出向することでLOMの現状を正確に把握できる広い視野を持つことがで、全国各地で行われている多くの事業や組織運営の⾧所を学ぶことで、メンバー一人ひとりのスキルアップに繋がります。そして、全国の志高いメンバーとの交流を行い、多くの経験や学びを得たメンバーが成⾧し、その知識や経験をLOMに還元することで、組織全体の成⾧にも繋がっていきます。地域へより大きなインパクトを与えられる団体として成⾧していくために、出向という機会を使わない手はありません。
【おわりに】
私は川口青年会議所に感謝しています。そして、LOMのメンバーを仲間だと思っています。だからこそ、LOMが活気づいて盛り上がっていくことを心の底から望んでいます。限られた人だけでやるのではなく、メンバー全員と手を携えて行動したい。参加が難しい時もあるでしょう。その時はそれ以外のところで貢献することもできます。常に活動に関わっていただきたい。みんなで多くの困難を乗り越え、達成した喜びを分かち合い、感動を共有したいと思っています。そのためには「志の共有」が必要不可欠です。メンバー一人ひとりが入会をした動機は人それぞれだと思います。しかし、貴重な時間とお金を使ってJC運動を行うことを選択したその志は同じであるはずです。コロナ禍で誰もが未来に不安を感じ、自分や地域のありたい姿を描けない時代だからこそ、私たちJAYCEEは希望をもたらす変革の起点として、ありたい姿を追い求め、志を持って挑戦し続けていきましょう。成功の反対は失敗ではなく、挑戦しないことです。やらない、やらされるJCから脱却し、JCを自己成⾧のためのツールと捉え、限られた青年としての時間を有意義なものとするために、共に一歩を踏み出しましょう。踏み出した一歩があなた自身を変え、地域を変え、明るい豊かな社会の実現へと繋がっていきます。
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